MOONSTONE / 2005R18
空を見上げる事が好きだった。 青空にふっと吸い込まれそうになる感覚が好きだった。 雲の形で何かを思い浮かべるのが好きだった。 雨の日も。 雨は虹。 虹が好きだった。 見上げるたび、いつも思った。
——どうしたらあの虹に追いつけるんだろう?
追いつけた事はなく。 ただ虹は、優しい曲線で空に光っているだけだった。