MOONSTONE / 2015R18
昏睡から覚めると、主人公・折口諒人は、世界が色づいて見えた。
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居候していた伯母の家の都合で、諒人と妹の美羽は3年ぶりに生まれ故郷の「灰土町」に戻ってきた。 そして5月という半端な時期に、「ひまわり学園」へと転入することになる。
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「わぁ──なにこれ」
季節は5月。 まだ早いにも関わらず、学園の通称の元になったひまわり畑には、 大輪のひまわりが咲き乱れていた。
「ねぇ──知ってる?」
「季節はずれのひまわりは、生徒たちに幸運をもたらすんだって」
だが教室は望外の幸運に沸き立つでもなく、静かなものだった。 諒人は、彼らにどんな色も認めることができなかった。
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かつて仲良しだった女の子たちとの、3年ぶりの再会。 人里離れた学園を舞台に、友人たちとの穏やかな時間が流れていく。 こんな生活がいつまでも続くものと、誰もが思っていた。 そう……永遠に。
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3年前の夏、仲良しのグループはバラバラに砕けてしまった。 その砕けたカケラの一つ一つを拾い集めたとき── 壊れた少女たちが胸に抱く闇、そして愛に、諒人は触れることになる。